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2024-12-13

ユーロポールが、DDoS攻撃を提供するサービス(ブーター)27件を摘発。

要約

ユーロポールは、DDoS攻撃を提供するサービス(ブーター)27件を摘発し、3人の管理者を逮捕したと発表しました。この取り締まり作戦は、年末商戦期に予想されるDDoS攻撃の増加に備えて行われたものです。

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脅威に備える準備が必要な期間が時間的にどれだけ近いか
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詳細分析

主なポイント

  • ユーロポールは、DDoS攻撃を提供するサービス(ブーター)27件を摘発したと発表した
  • この取り締まり作戦は、年末商戦期に予想されるDDoS攻撃の増加に備えて行われた
  • 3人のブーターの管理者が逮捕され、300人のユーザーが発見された

社会的影響

  • DDoSブーターは、サイバー犯罪の入門として人気があり、より深刻な犯罪につながる可能性がある
  • 今回の取り締まりにより、DDoSブーターの利用者が減少し、DDoS攻撃の減少が期待される
  • 一方で、DDoSブーターの利用者を単に逮捕するだけでなく、サイバー犯罪に走らないよう導くことも重要だと指摘されている

編集長の意見

今回の取り締まりは、年末商戦期のDDoS攻撃増加に備えた重要な対策であり、サイバー犯罪の入門として人気のあるDDoSブーターの利用を減らすことができると評価できます。ただし、単に利用者を逮捕するだけでなく、サイバー犯罪に走らないよう導くことも重要だと考えられます。先日日本でもDDoSブーターを使って逮捕された中学生の話しが上がっていましたが、こういった技術知識がなくても利用できる、as-a-service化したDDoSサービスが増えていることが今の時代のサイバーセキュリティ界隈を表しています。サイバーセキュリティ教育の充実を図り、こういったことが犯罪であることをもっともっと啓蒙していく必要があるでしょう。闇バイトと違ってリアルに動く必要もなくお金を稼げると思って手を出す人が今後も増えそうです。2024年5月には別件の闇バイトで逮捕された男性が、生成AIにマルウェアを作らせていた事実が発覚したということもあります。このような情勢は今後普通に続くものと考えて間違いないと思いますので、こういった教育、啓蒙をもっと行なっていけるようわれわれも色々と情報を発信していきたいと思います。
今日はこの「DDoSブーター」がどういうものか?を解説します。

解説

DDosブーターとは?

DDoS攻撃を提供するサービス、通称「ブーター」は、サイバー犯罪者が利用するオンラインプラットフォームであり、 特定のウェブサイトやネットワークに対して大量のトラフィックを送り込むことで、サービスを停止させることを目的としています。

ブーターは、DDoS(分散型サービス拒否)攻撃を実行するためのツールやサービスを指し、時にはIPストレステスター=「ストレッサー」と呼ばれる合法的なテストサービスとして偽装されることもありますが、その実態は違法な活動です。

これらのサービスは、攻撃者が料金を支払うことで利用でき、特定のIPアドレスやドメインに対して攻撃を仕掛けることが可能です。

ブーターの基本的な仕組みは、大量のリクエストを標的に向けて送信し、その結果としてサーバーやネットワークのリソースを圧迫させることです。 これにより、標的は正常に機能できなくなり、サービスがダウンしたり遅延したりします。
ブーターは一般的にボットネットを利用しており、これはウイルスやマルウェアに感染したコンピュータの集まりで構成されています。 攻撃者はこれらのボットネットを通じて指示を出し、大量のトラフィックを生成します。

さらに、ブーターはリフレクション攻撃やアンプリフィケーション攻撃といった手法も用います。
リフレクション攻撃では、攻撃者が第三者のサーバーに偽装したリクエストを送り、その応答を標的に向けさせることで攻撃の規模を拡大します。 一方、アンプリフィケーション攻撃では、小さなリクエストから大きな応答を得ることで、より多くのトラフィックを標的に送り込むことが可能です。

[LinkTo]DDoS攻撃の防御についてスクラビングを解説

ブーターサービスはほとんどの国で違法とされており、不正アクセス禁止法に抵触します。
日本でも、他人のサーバーやネットワークに対してDDoS攻撃を行うことは犯罪行為とみなされており、
厳しい罰則が科せられる可能性があります。
これらのサービスは、サイバーセキュリティ上の重大な脅威であり、中小企業や個人のウェブサイトが特に狙われやすい状況です。

総じて、ブーターはDDoS攻撃を実行するための危険なツールであり、その使用は法的にも倫理的にも問題視されています
企業や個人がこのような攻撃から身を守るためには、多層的なセキュリティ対策が必要です。

DDoS攻撃の違法性 DDos攻撃は犯罪です。

多くの国では、DDoS攻撃は連邦犯罪として扱われ、厳しい罰則が科せられることがあります。
例えば、アメリカではDDoS攻撃が連邦犯罪とされ、違反者には懲役刑や罰金が科せられる可能性があります。
日本でも、他人のサーバーやネットワークに対してDDoS攻撃を行うことは犯罪行為とみなされています。

ブーターサービスを利用するリスクは多岐にわたります。
まず第一に、これらのサービスを利用すること自体が法律に違反するため、利用者は逮捕や起訴のリスクを抱えています。
特に、DDoS攻撃によって他者の業務やサービスを妨害することは、業務妨害罪として処罰される可能性があります。

次に、ブーターサービスを提供する業者自体も信頼性が低く、多くの場合詐欺的な手法を用いています。利用者は、自身の情報や資金を危険にさらすことになります。
これらのサービスはしばしばマルウェアやウイルスを含んでおり、利用者のデバイスが感染するリスクもあります。
また、これらのサービスを通じて行われる攻撃は、他の無関係なユーザーや企業にも影響を及ぼすため、その結果として社会的責任が問われることもあります。

さらに、DDoS攻撃による被害は企業や組織にとって深刻な経済的損失をもたらす可能性があります。
攻撃によってサービスが停止すると、その間の売上損失や顧客信頼の喪失につながりかねません。
また、ブランドイメージにも悪影響を及ぼすため、長期的なビジネスへの影響も考慮する必要があります。

このように、DDoS攻撃サービスやブーターサービスには明確な違法性があり、それに伴うリスクも非常に高いです。
法律的な問題だけでなく、自身のセキュリティや社会的責任についても十分な理解と注意が求められます。

2023年には、英国の国家犯罪対策庁(NCA)が偽のブーターサービスを立ち上げて摘発するという取り組みを行った例もあります。 このようにして、DDoS攻撃を仕掛けようとする意思のある人を一気に集めて検挙することもあるのです。

こういったことを意識して、本当にそんなことをしていいのかどうか?など判断できるように教育していく必要があると考えます。

背景情報

  • DDoSブーターは、ユーザーが簡単にDDoS攻撃を実行できるサービスで、サイバー犯罪の入門として人気がある
  • 欧州刑事警察機構は、最近サイバー犯罪対策として、暗号化メッセンジャーの「Matrix」の解体も行っている
  • この取り締まり作戦は、米国、英国、カナダ、フィンランド、ブラジル、オーストラリアの法執行機関と共同で実施された