2025-11-18

APIとCLIにおける複数のOSコマンドインジェクション

FortiWebにおけるOSコマンドインジェクションの脆弱性が報告されました。この脆弱性は、認証された攻撃者が特別なHTTPリクエストやCLIコマンドを通じて、システム上で不正なコードを実行できる可能性があります。Fortinetは、この脆弱性が実際に悪用されていることを確認しています。影響を受けるバージョンは、FortiWeb 8.0、7.6、7.4、7.2、7.0の各バージョンであり、各バージョンに対してはアップグレードが推奨されています。

メトリクス

このニュースのスケール度合い

5.5 /10

インパクト

7.5 /10

予想外またはユニーク度

6.0 /10

脅威に備える準備が必要な期間が時間的にどれだけ近いか

8.5 /10

このニュースで行動が起きる/起こすべき度合い

9.0 /10

主なポイント

  • FortiWebにおけるOSコマンドインジェクションの脆弱性が発見され、認証された攻撃者が不正なコードを実行できる可能性があります。
  • 影響を受けるバージョンに対しては、最新のアップデートへの適用が強く推奨されています。

社会的影響

  • ! この脆弱性が悪用されると、企業のデータが危険にさらされる可能性があります。
  • ! 特に、FortiWebを使用している企業にとっては、信頼性の低下や顧客情報の漏洩といったリスクが生じることになります。

編集長の意見

この脆弱性は、FortiWebのような重要なセキュリティ製品において発見されたため、非常に重要な問題です。OSコマンドインジェクションは、攻撃者がシステムに対して直接的な制御を持つことを可能にし、データの漏洩やシステムの完全な乗っ取りにつながる可能性があります。特に、認証されたユーザーによる攻撃が可能であるため、内部からの脅威も考慮する必要があります。企業は、常に最新のセキュリティパッチを適用し、脆弱性を悪用されるリスクを最小限に抑えることが求められます。また、セキュリティ教育を通じて、従業員が脅威を認識し、適切に対処できるようにすることも重要です。今後は、Fortinetが提供するアップデートを迅速に適用し、システムのセキュリティを強化することが求められます。さらに、脆弱性の発見と報告を行った研究者に感謝の意を示すことも、セキュリティコミュニティ全体の信頼性を高めるために重要です。

解説

FortiWebのAPI/CLIで複数のOSコマンドインジェクション──「実悪用」確認、WAFの信頼境界が破られる前提で動くべきです

今日の深掘りポイント

  • 認証必須の脆弱性でも、管理インターフェースの露出と認証情報の再利用で到達可能性は高まりやすいです。CVSSは中程度でも、アプライアンスの性質上、運用リスクは高リスク相当として扱うべきです。
  • Fortinetが「実悪用(in-the-wild)」を明言しており、適用猶予はない案件です。外部露出の遮断とアップグレード、そして「鍵・証明書・資格情報」のローテーションまで含む侵害前提の対応が要件になります。
  • WAFがTLS終端やバックエンド接続資格情報を保持している場合、奪取された時のビジネス影響はWebアプリ側まで波及します。WAFのポリシ操作や例外追加による検知回避・データ流出も成立します。
  • 現場では「管理平面の隔離(ネットワーク/アイデンティティ)」「操作監査の強化」「構成逸脱の即時検知」を並走させ、72時間以内の是正完了をKPI化するのが現実的です。
  • 既に悪用されていることを踏まえ、対策は“防御+鑑識+復旧”をワンセットで計画すべきです。パッチ適用だけで完了とせず、証跡レビューと秘密情報の入れ替えを必ず併走させます。

はじめに

FortinetのWAF製品であるFortiWebに、APIおよびCLI経由で悪用可能な複数のOSコマンドインジェクション(CWE-78)が報告され、ベンダーが「実際に悪用されている」と公表しています。影響はFortiWeb 8.0/7.6/7.4/7.2/7.0系に及び、アップグレードが推奨されています。CVSS評価は中程度ですが、WAFの位置づけ(TLS終端、認証・バックエンド資格情報、検知ルールの中核)を踏まえると、事業継続と信頼に直結する高い運用リスクを内包します。
本稿では、事実関係を整理したうえで、攻撃者視点の到達経路と被害拡大の実相、そしてCISO・SOCが今すぐ優先すべきアクションを提示します。

深掘り詳細

事実関係(ベンダー情報)

  • FortiWebのAPIおよびCLIにおいて、認証済みの攻撃者がOSコマンドを実行可能となる複数の脆弱性が公表されています。
  • ベンダーは「実悪用(in-the-wild)」を確認しています。
  • 影響バージョンはFortiWeb 8.0/7.6/7.4/7.2/7.0系で、各系統に対するアップグレードが推奨されています。
  • 脆弱性はCWE-78(OS Command Injection)に分類され、CVSS v3.1の評価は中程度です。
    出典: Fortinet PSIRT通告(FG-IR-25-513)FortiGuard PSIRT: FG-IR-25-513

編集部インサイト(なぜ「中程度」でも緊急か)

  • 認証要件があるから安全、とは限らないです。運用の現実として、管理UI/APIのインターネット露出、パスワード再利用、MFA未適用、運用委託先の共有アカウントなどにより、攻撃者から見た到達可能性は高くなります。特にアプライアンスは「メンテ容易性」の理由で露出しがちです。
  • WAFは「制御プレーン=高権限」「データプレーン=高価値データ」に同時に触れます。OSコマンド実行が通る時点で、TLS秘密鍵・認証局チェーン、バックエンド接続の資格情報、WAFポリシや例外設定に直接アクセスでき、Webアプリ側の防御品質と機密性が崩れます。
  • 実悪用が公表された事実の重みは、攻撃者コミュニティに既に武器化されたか、少なくとも照合可能なPoC/手口が共有されていることを示唆します(仮説)。この場合、組織の“パッチ待ち時間”は攻撃者の自動スキャンに上回られやすく、パッチ適用だけでなく露出遮断と鍵ローテーションを同時に実施するのが現実解です。
  • 組織的には「アプライアンス=境界の外」に置かず、「アイデンティティで守る管理平面」「最小権限・短命資格情報」「即時監査可能な操作ログ」を標準化しない限り、同種のインシデントは再発します。

脅威シナリオと影響

以下はMITRE ATT&CKに沿って、想定しうるシナリオを整理した仮説です。実際の侵入経路や手口は組織環境に依存します。

  • シナリオ1:認証情報の再利用からWAF掌握、鍵・設定の奪取

    • 初期アクセス(仮説): Valid Accounts(T1078)を悪用。管理UI/APIが外部露出し、再利用パスワードや流出クレデンシャルでログイン。
    • 実行: OSコマンド実行(T1059)をAPI/CLI経由で実施。
    • 権限維持: アカウント作成/権限改変(T1136/T1098)でバックドア管理者を追加。
    • 資格情報・秘密奪取: Private Keys(T1552.004)や設定ファイル(T1005)を取得。
    • 防御回避: WAFポリシ改変・例外追加(T1562)で検知/遮断を無力化。
    • 影響: Webアプリ側のTLS信頼と機密性が毀損し、バックエンドへの横展開(T1021)やセッションハイジャックの土台が形成されます。
  • シナリオ2:委託先・運用ベンダー経由の連鎖侵害

    • 初期アクセス(仮説): MSP/運用委託先の共有管理アカウントが突破(T1078)。
    • 実行・横展開: OSコマンド実行(T1059)を足掛かりに、WAFが到達可能な管理サブネットに探索(T1046, T1082)。
    • 影響: 複数テナント・複数環境(開発/本番)への拡散と、横断的な鍵・証明書の流出に発展しやすいです。
  • シナリオ3:ポスト侵害の防御無効化と持続化

    • 既に別経路で内部に侵入した攻撃者が、当該脆弱性でWAFに昇格アクセス。
    • 防御無効化(T1562)と持続化(T1098/T1136)をWAF側で確立し、Web流量の検査品質を長期にわたり低下させ、データ流出(T1041)を継続します。

ビジネス影響としては、顧客への可用性・信頼性影響(検知抜けによる改ざん/流出)、法的・契約上の報告義務、証明書再発行・秘密情報ローテーションに伴うコストと停止時間が現実的に発生します。

セキュリティ担当者のアクション

優先順位を付け、72時間以内の是正完了をKPIとして管理することを推奨します。

  1. 影響資産の特定と露出遮断(直ちに)
  • 対象系統(8.0/7.6/7.4/7.2/7.0)を全在庫で棚卸しします。仮想/物理/クラウド配置を包括します。
  • 管理UI/API/CLIのインターネット露出を即時遮断します。管理平面はVPNや踏み台、管理用ネットワークに限定し、IP許可リストとMFAを適用します。
  • APIトークン/キーが運用で使われている場合は一時停止やスコープ縮小を検討します。
  1. ベンダー推奨バージョンへのアップグレード(即時)
  • Fortinet PSIRT通告(FG-IR-25-513)に従い、各系統の修正済みリリースへ更新します。複数系統が対象のため、混在環境では計画を分けず一括で進めます。
  • アップグレード後はバージョン整合性を監査し、ローリング再起動に伴うバイパス/フォールバック設定を点検します。
    出典: FortiGuard PSIRT: FG-IR-25-513
  1. 侵害前提の鑑識・封じ込め(アップグレードと並走)
  • 管理監査ログ(ログイン元IP、時間帯、失敗/成功の試行回数、API/CLIコマンド履歴、設定変更履歴)を過去数週間スコープで確認します。
  • 不審な管理者アカウントや権限昇格、WAFポリシの例外追加、ログ出力先の改変がないかを重点チェックします。
  • 兆候があれば「アプライアンス完全侵害」と見なし、フォレンジックのためスナップショット保全、隔離、クリーンビルドによる再展開を検討します。
  1. 秘密情報のローテーション(被害波及を断つ)
  • TLS秘密鍵・証明書(終端している場合)、バックエンド接続の資格情報(DB/認証連携)、APIトークン、WAF管理者パスワードを全面ローテーションします。
  • 証明書再発行は中間CA連鎖も含め計画し、古い鍵の失効と配布完了の確認までを運用手順に落とし込みます。
  1. 検知とハードニング(再発防止)
  • 監視ルール: 短時間の大量管理アクセス、未知ASからの管理ログイン、営業時間外の設定変更、急なポリシ例外追加をアラート化します。
  • 構成管理: 管理プレーンのネットワーク分離、MFA必須化、個別アカウント運用(共有アカウント禁止)、最小権限ロールの再設計を実施します。
  • ログの一元化: FortiWebからの管理・イベントログを集中基盤へ転送し、改ざん耐性を持たせます。
  • ベンダー連携: PSIRTの後続更新(追加CVEやIoC、修正バージョンの更新)がないかを継続監視します。
  1. ガバナンスと指標
  • 経営報告用に、影響資産の総数、露出遮断までの時間、アップグレード完了率、鍵・資格情報ローテーション完了率、鑑識完了件数をトラックします。
  • アプライアンス類(WAF/ADC/SSL-VPN等)向けの「管理平面ゼロトラスト」基準(外部非露出、MFA、短命資格情報、操作監査)を全社標準に昇格します。

参考情報

  • Fortinet PSIRT: APIとCLIにおける複数のOSコマンドインジェクション(FG-IR-25-513): https://fortiguard.fortinet.com/psirt/FG-IR-25-513

注記: 本稿の攻撃シナリオおよびMITRE ATT&CKマッピングは、公開情報と一般的な運用実態に基づく仮説であり、個別環境での検証が必要です。ベンダーが公表している事実関係(影響範囲、悪用確認、評価値等)は引用元のPSIRT通告に従っています。

背景情報

  • i OSコマンドインジェクションは、攻撃者がシステムのコマンドを不正に実行する手法です。この脆弱性は、特別な要素が適切に無効化されていないことに起因します。FortiWebは、Webアプリケーションファイアウォールとして広く使用されており、そのセキュリティが脅かされることは重大な問題です。
  • i CWE-78に分類されるこの脆弱性は、特に認証されたユーザーによって悪用される可能性が高く、攻撃者はHTTPリクエストやCLIコマンドを通じてシステムにアクセスし、任意のコードを実行することができます。