2026-02-16

マイクロソフトがCISOとAIリスクリーダー向けに新しいセキュリティツールを提供

マイクロソフトは、企業環境向けにAIのためのセキュリティダッシュボードを公開しました。このダッシュボードは、Microsoft Defender、Microsoft Entra、Microsoft Purviewからのリスク信号を集約し、AIエコシステム全体のリスクを管理するためのツールを提供します。CISOやAIリスクリーダーは、AIエージェントやアプリケーションの発見、AIの姿勢の追跡、リスク信号の相関を通じて、効果的なガバナンスを実現できます。ダッシュボードは、AI資産のインベントリも含み、AI関連のセキュリティリスクを一元的に表示します。

メトリクス

このニュースのスケール度合い

8.0 /10

インパクト

6.5 /10

予想外またはユニーク度

6.5 /10

脅威に備える準備が必要な期間が時間的にどれだけ近いか

7.5 /10

このニュースで行動が起きる/起こすべき度合い

8.0 /10

主なポイント

  • マイクロソフトは、AIのためのセキュリティダッシュボードを公開し、CISOやAIリスクリーダーに新たなガバナンスツールを提供します。
  • このダッシュボードは、AIエコシステム全体のリスクを管理するための機能を備えています。

社会的影響

  • ! AIの安全性が向上することで、企業の信頼性が高まり、顧客の安心感を得ることができます。
  • ! 新しいセキュリティツールの導入は、AI技術の普及を促進し、業界全体のセキュリティ意識を高める可能性があります。

編集長の意見

マイクロソフトの新しいセキュリティダッシュボードは、AIの導入が進む現代において非常に重要なツールです。AI技術は急速に進化しており、それに伴い新たなセキュリティリスクも増加しています。このダッシュボードは、CISOやAIリスクリーダーがAIエコシステム全体のリスクを把握し、適切な対策を講じるための強力なサポートを提供します。特に、AIエージェントやアプリケーションのインベントリを管理する機能は、企業が未管理のAIリソースを特定し、リスクを軽減するために不可欠です。また、自然言語クエリを使用してリスクを調査できる点も、セキュリティチームにとって大きな利点です。今後、AI技術がさらに普及する中で、企業はこのようなツールを活用して、AIの安全性を確保し、リスクを管理する必要があります。推奨事項としては、企業はこのダッシュボードを積極的に導入し、AI関連のリスクを常に監視する体制を整えることが重要です。これにより、AI技術の利点を最大限に引き出しつつ、セキュリティを確保することができるでしょう。

解説

Defender・Entra・Purviewの信号を束ねる「AIセキュリティダッシュボード」──CISOとAIリスクリーダーに“運用で回る”可視化と相関の基盤を提示します

今日の深掘りポイント

  • MicrosoftがAI向けのセキュリティダッシュボードを発表し、Defender・Entra・Purviewのリスク信号を一枚の運用画面に集約する方向性を明確にしました。AI資産のインベントリ、AIエージェント/アプリの発見、姿勢の追跡、リスク相関をカバーする設計です。
  • これは「AIガバナンス」とSOC運用の間に横たわる溝を埋める一手で、チェックリスト中心の管理から、継続的モニタリングとインシデント対応の現実解へ近づける枠組みになり得ます。
  • ただし可視化の質は、組織のデータ分類、ID管理、CASB/エンドポイントのテレメトリの成熟度に強く依存します。既存のラベルやポリシーが粗いと、AIリスクの視界も粗くなります。
  • 早期にPoCで“自社のAI資産がどれだけ見える化され、どの相関が効くか”を検証し、運用手順と委任モデル(RACI)を固める価値が高い局面です。
  • 驚天動地の新機能というより、既存セキュリティ投資をAI時代に活かすための橋梁です。だからこそ実運用での即効性と導入のしやすさが勝負どころになります。

はじめに

生成AIの導入は、PoCの域を超え業務の奥深くに入り込みつつあります。部門横断でAIエージェントや小さな自動化が増え、サービスプリンシパルやAPIキーが増殖し、知らぬ間に機密データがプロンプトに流れ込む──そんな「静かな拡張」が続いています。従来の製品ごとのコンソールでは、アイデンティティ、データ、エンドポイント、SaaSの境界をまたぐ“AI特有のリスクのつながり”を捉えきれませんでした。

今回のMicrosoftのダッシュボードは、Defender・Entra・Purviewの信号をAIという文脈で結び直し、CISOとAIリスクリーダーが同じ地図を見て合意形成できる運用基盤を狙った動きに見えます。規程と設計書を整えるだけでは追いつかない状況で、運用が主役に回るための面を揃えてきた印象です。

深掘り詳細

事実整理:何が発表されたのか

  • Microsoftが企業環境向けに「AIのためのセキュリティダッシュボード」を公開し、CISOとAIリスクリーダーに向けたガバナンス・運用の中核として位置づけています。
  • ダッシュボードはMicrosoft Defender、Microsoft Entra、Microsoft Purviewからのリスク信号を集約し、AIエコシステム全体のリスクを一元的に管理する設計です。
  • 主な機能として、AIエージェントやアプリケーションの発見、AIの姿勢(ポスチャー)の追跡、リスク信号の相関、AI資産のインベントリ化が含まれます。
  • 以上は公開記事に基づく情報であり、詳細仕様や対応範囲の全容は今後の公式発表やドキュメントで確定していく段階と見られます。
  • 出典は以下の報道です。

編集部のインサイト:何が変わるのか

  • 「点の最適化」から「線の相関」へ舵を切れる可能性が高いです。AI関連インシデントは、アイデンティティの緩み(Entra)、データの持ち出しや過剰共有(Purview)、端末やSaaS経由の利用実態(Defender/XDR・CASB)といった複数ドメインの小さな異常が連鎖して可視化されにくいまま発火します。単一製品での深掘りより、弱いシグナル同士をAI文脈で束ねるほうが、誤検知を抑えつつ見逃しを減らせます。
  • ダッシュボードが“AI資産のインベントリ”を持つことの効用は過小評価されがちです。モデルやエージェント、接続先SaaS、利用するサービスプリンシパルやAPIキーなどを資産扱いできれば、アクセス権限の過不足評価、棚卸し、オペレーショナル・レジリエンス(障害・改変時の影響分析)が現実的になります。AIの世界ではコードより“接続とデータ”が資産の中心に寄っており、ここを数え上げることが統制の出発点になります。
  • 一方で、万能感は禁物です。AIリスクの可視化は、組織側の前提条件に強く依存します。Purviewの感度はデータ分類とラベルの粒度次第で、Entraの洞察はサービスプリンシパルやアプリ登録の衛生状態に引きずられます。Defenderのカバレッジも、エンドポイントやSaaSの接続状態で視界が変わります。PoCでは「どの資産・どの経路が見えていないか」のブラインドスポット特定を最優先に置くべきです。
  • 現場目線では「AI特有の運用イベント」を定義し直すチャンスです。たとえば“機密ラベル付きデータを含むプロンプト送信”“高リスクサインイン直後のAIエージェント実行”“新規登録アプリの初回AI APIコール”のような事象を1つの時間軸で並べられれば、インシデントの初動が劇的に速くなります。これを可能にするのがダッシュボードの“相関”という価値です。

脅威シナリオと影響

以下は編集部の仮説に基づく代表シナリオで、MITRE ATT&CKのタクティクスに沿って整理します。特定のテクニックIDは環境により当てはまりが異なるため、読み替えを前提にしてください。

  • シナリオ1:サービスプリンシパルの乱用によるAI経由のデータ流出です。

    • 概要: 攻撃者が過剰権限のアプリ登録やサービスプリンシパルを悪用し、AIエージェントに機密データ取得と外部送信を行わせます。
    • ATT&CK観点: 有効なアカウントの悪用(Valid Accounts)、アカウント操作(Account Manipulation)、権限昇格・横展開、収集(Collection)、Webサービス経由の持ち出し(Exfiltration over Web Service)です。
    • ダッシュボード活用余地: Entraのリスクサインインとアプリ許可変更、Purviewの機密データ取り扱い検出、Defenderの外向き通信やSaaS利用の相関で早期検知が期待できます。
  • シナリオ2:プロンプトインジェクションを介した意図逸脱と情報持ち出しです。

    • 概要: 外部WebやSaaSのコンテンツを参照するAIワークフローが、悪性プロンプトに誘導されます。AIは内部データやシステム機能を不適切に開示・実行します。
    • ATT&CK観点: ユーザー実行(User Execution)、信頼された機能の悪用(Abuse of Trusted Functionality)、防御回避(Defense Evasion)、収集と外部送信(Collection/Exfiltration)です。
    • ダッシュボード活用余地: Purviewのラベル付きデータ検知とDefenderのSaaS/エンドポイントの振る舞い、Entraの条件付きアクセスの評価をAI文脈で関連づけることで、逸脱を検出しやすくなります。
  • シナリオ3:シャドーAI(未承認AIアプリ)による規程外利用です。

    • 概要: 従業員が未承認のAI SaaSに業務データを投入し、データ所在地や二次利用のリスクが顕在化します。
    • ATT&CK観点: 収集(Collection)、Webサービス経由の持ち出し(Exfiltration over Web Service)、防御回避(正規サービスの悪用)です。
    • ダッシュボード活用余地: Defenderのクラウドアプリ発見系テレメトリとPurviewのDLPシグナル、Entraのアプリ同意状況を一元化し、許可リスト/禁止リスト運用に結びつけやすくなります。
  • シナリオ4:モデル/プラグインのサプライチェーン汚染です。

    • 概要: AIエージェントが依存する外部モデル、拡張機能、接続先が改ざん・乗っ取りされ、正規のAI経路を通じて侵入・持ち出し・改ざんが行われます。
    • ATT&CK観点: サプライチェーン侵害(Supply Chain Compromise)、永続化(Persistence)、コマンド&コントロールの確立、影響(Impact:データ改ざんや可用性低下)です。
    • ダッシュボード活用余地: インベントリで依存関係を資産として把握し、ポスチャー変化(新バージョン、権限変更、接続先増加)を早期に追跡できます。

これらのシナリオでは、個々の製品の深掘りよりも、時系列の相関と資産基点の分析が鍵になります。AIダッシュボードはまさにそこを補助する位置づけに見えます。

セキュリティ担当者のアクション

  • 45日PoCを設計します。目的は「可視化のカバレッジ測定」「相関ルールの当たり所」「運用手順の整備」で、成功指標としては“発見されたAI資産のカバレッジ(推定実数比)”“AI関連アラートのMTTD/MTTR”“誤検知率”“未承認AIアプリの削減率”を置きます。
  • 資産インベントリの“種”を用意します。AIエージェント/アプリ、使用するサービスプリンシパル、接続先SaaS、扱うデータセットを部門横断で棚卸しし、ユニークIDを付与してダッシュボードと突き合わせます。
  • データ分類とラベリングを前倒しで磨き込みます。Purviewの検出精度は前提となるスキーマとラベルの整備度で決まるため、AI関連のプロンプト/出力に特化したDLP条件と例外基準を定義します。
  • IDの衛生改善を同時に走らせます。サービスプリンシパルとアプリ登録の最小権限化、過剰な同意の取り消し、トークン有効期限ポリシーの見直し、リスクベース認証の適用範囲確認を実施します。
  • シャドーAI検知の入り口を設けます。ネットワーク出口、ブラウザ拡張、CASBのカテゴリでAI関連トラフィックを抽出し、業務利用の実態と許容範囲を合意形成します。
  • 相関クエリの“最初の3本”を作り、運用の芯にします。例として「高リスクサインイン後30分以内のAIデータ持ち出し」「新規アプリ登録の初回AI APIコールとDLP命中の同時発生」「機密ラベル付きファイルのプロンプト投入と未承認SaaSアクセスの連鎖」を定義します。
  • インシデント対応のプレイブックをAI版に拡張します。初動で実施する“トークン失効”“アプリ同意の強制取り消し”“エージェントの隔離”“プロンプト/出力の証跡保全”を標準手順に格上げします。
  • 境界を越えるデータ移転のガードレールを明文化します。データ所在国、加工・二次利用、保管期間の観点でAIワークフローの通行可否を定義し、違反時の強制措置と例外承認プロセスを用意します。
  • 変更管理をAI資産に適用します。モデル更新、プロンプトライブラリ変更、権限追加は全て“変更”として記録し、ダッシュボードのポスチャー変化と連動させます。
  • 経営・法務・監査と同じ画面を見る場を作ります。ダッシュボードのスクリーンを用いた月次レビューで、技術KPIとリスク許容度のすり合わせを定常化します。

参考情報

本件は、派手な機能競争というより、既存のセキュリティ基盤をAI時代の動的リスクに向け直す“運用の再設計”の提案に映ります。可視化と相関は道具にすぎませんが、現場の洞察と結びついたときに初めて力を持ちます。PoCの小さな成功を積み重ね、AIとともに“運用を強くする”ことを、今日から始めていきたいです。

背景情報

  • i AIの導入が進む中、企業はAI関連のセキュリティリスクに直面しています。マイクロソフトのセキュリティダッシュボードは、これらのリスクを一元的に管理するためのツールとして設計されています。
  • i ダッシュボードは、AIエージェントやアプリケーションのインベントリを提供し、リスク信号を集約することで、企業がAIの安全性を確保する手助けをします。